びおら@こあら

びおらとともに悪戦苦闘のそれでも楽しい日々@ドイツ。 ドイツ生活、音楽のことなどをのんびりヴィオラ弾き目線で書いています。

みる・ひく・オペラ

気分の落ち込みと戦ってヴォツェックを弾く

Foto0865
カイザースラウテルンの歌劇場では、先週末が初回公演だった
アルバン・ベルクのオペラ、ヴォツェック。

初回公演が降り番だったこあらは、昨日が初本番!

本番前にもう一度録音を聴きながら復習して挑みました。



このオペラは、私にとってかなり難関。本番までの道のりが長かったです。

まず、
予習の段階で、あらすじを読む

内容があまりに救いようがなく、暗くて、どっぷり落ち込む。
立ち直れず。楽譜は閉じたまま。


数日後、仕方がないので楽譜を見ながらCDを聴く。

いろんな声部が入り乱れすぎていて、ヴィオラを探し出せず。
やむなく楽譜を閉じて、聴く。暗い。
落ち込む。


オーケストラ練習が始まる。

指揮者の説明のおかげで、ベルクの意思などが少しずつ分かる。
嬉しい。
少し活路を見出す。


しかし
50%という契約のため、練習も半分だけしか出られないので、練習と練習の間が一週間空くということも。

なんだか、やっぱりよく分からなくなっていく。
そして、次の練習に行ってやはり落ち込む。


というのを繰り返して…昨日の初本番を迎えたわけですが、
もう一度録音を聴いて、全体像を少し復習できたおかげで、ちょっとリラックスして弾けました。

でも、本当に救われない内容。
録音を聴きながら、分からないのでストップして、もう一度、そしてもう一度…
と、繰り返し聴くのですが
何度も何度も
「血が、人間の血がー!!」
なんていうのを聴くと、本当に気が滅入ります。ふぅ。


実話を基に作られたオペラで、またそれも心が重くなる原因かなぁと思ったり。
ヴォツェックは、貧しいながらも妻子を養う手段を考えていて(貧しいので結婚はしていない、いわば内縁の奥さん)、床屋をしたり、また、自分自身を人体実験の実験台として提供、それと引き換えにお金をもらって生計を立てているのです。
下層階級ではあるけれど、実験の薬で徐々に精神的に影響が出てきているけれど、敬虔な神を信じるヴォツェックの姿もオペラでは描かれているようで、
それも、なんともいえず、悲しい。
内縁の妻であるマリーは、軍楽隊の鼓笛隊長と、しかし、浮気をしてしまうのです。
そりゃ、旦那さん、お金ないし、未来は明るくないけど…
で、それを知ったヴォツェックが奥さんを刺し殺して、自分は錯乱状態でうっかり溺れ死んでしまうという話。
残された子は何も知らず、でも他の子供たちが子供っぽい無邪気さで母親が死んだことを伝えて、終わるという…なんともいえないオペラ。

ふぅ。書いているだけで、また暗くなってきました。


イタリアオペラの悲劇で、最後にみんな死んじゃうっていうのはよくあるパターンですが、なんで、このお話はこんなにも救われない気持ちになるんでしょう。

でも、音楽は、ワーグナーだったり、マーラーだったり、なんとなくハリーポッターだったりする部分が随所にあって美しいです。
だから、余計に悲しいのかなぁ。








売られた花嫁

Foto0557
スメタナのオペラ、売られた花嫁を見てきました。

なんといっても、序曲がオーケストラスタディの定番。
なので、ちょっとは知っている気分でいましたが、よく考えたら、全体像は不明!
あらずじなどを読んでから行ったのですが、今思えば、知らないほうがおもしろかったかも…

舞台はボヘミア地方。
ラブラブカップルのハンスとマリー(ドイツ語上映だったので、名前もドイツ版です)の話です。
まぁ、よくあるパターンで
マリーの家はわりと貧乏。親は彼女が小さい頃から、裕福な農場主と、その息子と結婚させるという約束を結んでいる。でも、マリーはハンスがいるから、当然断る。でも、マリーが結婚すればお金には困らないし、親はそこをなんとかしたい。そして、農場主側も、彼らの知恵遅れの息子を、早く結婚させたい。
という状況を、結婚仲介人が、まとめようと奔走するのです。
知恵遅れの息子だというのを隠しつつ、とりあえず契約書にサインさせようと、説得説得…
ハンスには、「マリーをあきらめてくれたらそのかわり大金をやるから…」と、説得。
ハンスはそこでなにかひらめくわけですが、しかし、その「金と引き換えに、マリーを諦める」契約書にサイン。

だから「花嫁を売った」という題が付けられているのですね。

ここまでにも少しづつ謎が隠されているので、なんとなく結末は見えているのですが
それでも、自分をお金と引き換えにしたハンスに絶望するマリーのシーンなどは、本当に可哀想!!

またハンス役の歌手が、ちょっと軽いけどとても賢い。感じを上手に演じてはって、とても楽しめました。
サーカス団の場面では、本当に火を吹いてたり空中ブランコでくるくる回ってたり…
見ていて飽きませんでした。


休憩中は、なんとロビーで一寸劇(というのかな?)。
Foto0878
花嫁オークション。が行われました。
バルコニーに、3人の花嫁。
下に、オークションを仕切るオジサマ。
Foto0879
「一人目は、ロシアから来たナタリーちゃん!」
…みたいな感じで…
周りの人は、ちょっとあっけにとられています(笑)
Foto0880
「趣味はウィンドサーフィン、料理は…」
とかなんとか紹介。
「さて、このお買い得花嫁、500ユーロから!」


えー!?ほんとに!?


と、思っていたら、こあらの目の前のおじさんが

「600ユーロ!!!!」


あれよあれよという間に、17000ユーロくらいまでつりあがって、お買い上げ。


お客役のオジサマたちが、ロビーのあちこちに散らばってはって、大声で叫ぶから、周りの人はびっくりしてました。

いつもは長く感じる休憩時間が、今日は短かったです

カーニバルを横目で見る

この週末は、ヴィースバーデンもカーニバルで大盛り上がりでした。

私はドイツに住んで7年、未だに仮装したりパレードを見に行ったりしたことがないのですが、
今年もその予定は無く。
ただ、歌劇場のロビーで行われている室内楽コンサートを聴きに行ってきました。

ヴィースバーデンの歌劇場といえば、このロビーが売り!
というくらいだと私は思っているのですが…
普段は休憩時間に、飲み物や食べ物を買ったりできるスペースです。
室内楽のコンサートはここで開催されます。

天井の照明も立派!…って、なんだか、カラフルすぎませんか…?
Foto0877

そうなんです、立派なロビーも、カーニバル仕様。
Foto0908

風船がマッチしているような、していないような。
Foto0907

舞台は、このピエロさんたちのちょうど真ん中あたり。

カーニバルコンサートということで、出演者もみんな仮装。
曲も、楽しいものばかりでした。

たとえば、

「どんどん小さく」
というタイトルの、クラリネットとピアノの曲。
テーマ、バリエーション…と続くにつれて、クラリネットがだんだん小さく…
最後はなんとマウスピースだけで演奏されてました。
クラリネット奏者のおじさんが、間奏のあいだに楽器を下から順番に外して、お客さんに渡していって、
とっても盛り上がりました。

他にも、ハッキリとは覚えていませんが、
「4つのフルートとバスと、瓶のためのジャングルダンス」(だったと思う…)
では、瓶奏者が登場。ゴリラの衣装に身を包んで空き瓶を吹く…

そんな曲があるんですね…(ちゃんとオリジナルだそうです!)


他にびっくりしたのは、仮装したお客さんがいっぱいだったこと!
席についていると、角を生やしたマダムや、猫耳のおばあちゃん、真っ赤なかつらのオジサマなど…
普通の格好をしている私が、なんだか場違いなのでは…と、しばらくうろたえました(笑)


かなり満喫しましたが、やはりナレーションが全部理解できないのが残念!
特に、政治家をオペラの登場人物に例えて笑いをとる、とか、そういうのは聞き取るのも、理解するのも難しい~

まだまだ修行が必要だと感じた、カーニバルコンサートでした。
いつか皆と同じタイミングで笑えますように…


その後、これまた仮装した人々でごった返している街を横目に、退散しました

トスカを観る

Foto0816
こんな素敵なビールのある街にいきました。
グラスがちょっと普通と違ってとっても可愛い
(中身は半分になっていますが


この街の歌劇場で吹いてられる、素敵な先輩に会いにいくのが目的でした。
そして、プッチーニのオペラ「トスカ」を観賞!
トスカはシュトゥットガルトの歌劇場で見て以来、5年ぶりで、その当時と比べるとちょっぴり自分の経験値(?)が上がったのを感じました。
やはり、ドイツ語力が少しアップしたのもあって、字幕が理解できるようになったこと。それによって、曲、場面と台詞の関係が、よりハッキリとわかるようになりました。
そして、あれ以来いくつかプッチーニの違うオペラに接したこともあり、他の作品と比べて聴く事もできるように。


その結果
話に入り込みすぎて一幕の途中からだんだん腹が立ってくるという…
悪役の方がまた、めっちゃはまっていて、もう、憎たらしいのなんのって!!
これって、いいのか悪いのか、
「せっかく先輩が吹いてられるので、音楽に注目しなきゃ」
と思っても、すぐに
「ムキー!!トスカー、だまされるなー!!!(あほー!!!!)」
と、いう心の声が勝つ羽目に。

歌姫トスカと画家のマリオは恋人同士でラブラブなのですが、その二人の人生を時代と、嫉妬心が狂わせていく。

というのが、あらすじ。

時代は共和制が崩れ、絶対王政が敷かれていた1800年ローマ。その不安定な世の中で、それでも幸せなトスカなのですが、なんせあまりに女の子すぎて、嫉妬深いし、疑い深いし、あからさまな嘘にコロリとだまされるし…

それも見ていて、いらいらしてくる原因!

悪役というのは、絶対王政下の警視総監スカルピアというヤツ。
権力も地位も持っていて、それでいてまだ何かを手に入れたいと思っていて、悪知恵もめっちゃ働くのです。
バリトン歌手の方はすらりとしたシルバーグレーの髪のオジサマでした。
今思い出しても、イメージぴったり。

そして、数々の残酷な場面に付けられている音楽が、もう、この世のものとは思えないくらい美しいもの。
とても有名なアリアのひとつである、マリオの「星はきらめき」なんかは、もう死刑まで時間がない彼が絶望の中トスカを想って歌う、最高に悲しい場面。
この曲の美しさと内容の救われなさのギャップは、プッチーニの得意とするところなのだろうなと思いつつも、その差ににプッチーニを恨みたくもなります。
なんでこんな場面で、こんなにも心を打つメロディーを作ることができるのか…

イタリア人のドラマチックな気質なのでしょうか。

いろいろなことを考えるきっかけになった、ブレーメンでのトスカでした。
観られてよかった~

メリークリスマスと眠れる森の美女

メリー・クリスマス
Foto0767

第三弾、焼いてみました。
二回目のちょっぴり焼き不足の反省を生かして、じっくり焼きました。
スノーボールのような、ホワイトクリスマスにはならなかったけど…


さて、
カイザースラウテルンの歌劇場、クリスマスの演目は
バレエ、眠れる森の美女。

これは、なんといっても私の一番好きなバレエといっても差し支えない!そんな曲です。

チャイコフスキーの三大バレエのひとつに数えられる、眠れる森の美女。
白鳥の湖と、くるみ割り人形の間に書かれています。
シュトゥットガルトの歌劇場にいたときに、たくさん弾かせてもらえて、
その後舞台を見たときの感動は、今でもはっきり思い出せます。
クラシカルで大掛かりな舞台。あれは絶対見ておくべき!とってもとってもお勧めです。
色をとても効果的に使ってあって、オーロラ姫が眠りから覚めるシーンの、音楽と目を見張るような舞台転換の瞬間。
ため息が出るくらい美しかった。
オペラハウス全体が100年の眠りから息を吹き返したような、そんな気持ちになりました。

それ以来、すっかり大好きに。

ハッピーエンドなのも好きな理由かなと思います。


先シーズン終わりに、次は眠れる森の美女が演目に予定されているというのを見て、どうしても弾きたい!
と、思いました。
弾けることになって嬉しいです

でも、カイザースラウテルン版は、お話がどうやら少し違うよう…。
ダイアナ妃がオーロラ姫になるとか…?

一体どうなってしまうのかしら?
弾くだけではなく、一度見てみないと!と思っています。
プロフィール

こあら

こあらの説明書き
♪職業♪
音楽家(修行の身)

♪血液型♪
おおざっぱではなく
おおぼけでもなく
おおらかのO型(!?)
いいビオラ弾きを
目指しています。

♪趣味♪
読書
(片寄ったジャンルですが)
お菓子を作ること
(ふくらむ焼き菓子専門)
バレエ鑑賞
(弾くのも好き)

♪出身地♪
びわこのほとり
地元大好き!!!

♪現住所♪
ドイツの真ん中あたり

♪密かな特技♪
国籍問わず
ちびっこと仲良く遊べる
(遊ばれているという話も)

♪好きなもの♪
室内楽。リサとガスパール。水族館。トーマス・ミュラー。はるさめサラダ。ジゼル。冬。シューマン。明智光秀。眠れる森の美女。整理整頓。メンデルスゾーン。お茶の時間。雑貨屋さん。ラムネ。空港。きくらげ。パン屋さんに入った瞬間。さくらもち。フィギュアスケートと高橋くん。活字。プロコフィエフのロミオとジュリエット。天狗舞。お祭り巡り。J.L先生。パクチー。もちろん、ヴィオラ。

♪尊敬する人♪
祖父母。×2

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

記事検索
  • ライブドアブログ