久しぶりに、読書の話。
ドイツに住んでもうすぐ8年。
本が好きで好きでたまらないのに
「ドイツで日本語の本は読まん!」
と、強がって、ほとんど持って来ないようにしていました。
しかし、
ここのところ日本滞在中忙しくて、時間がとれない年が続いて。電車移動もあまり無かったし…
今夏、なんとか隙間に読んだ一冊が、アルマ・マーラーの書いたグスタフ・マーラーの回顧録。
本を選びに行く時間も無くて、父からの借り物でした。
日本語訳を「きっとドイツ語だったら、こういう表現になったんだろうな…」などと思いながら読むのは、面白かったです。特に会話の部分は想像するのも楽しい。
昔は翻訳物の、どうしてもちょっぴり不自然な表現が苦手だったのですが、こんなところで海外生活効果が現れるとは!読めるジャンルが広がりますよね。うれしいな。
ただ、この一冊だけではどうにもこうにも満たされず
旅立つ前日、炎天下を本屋に走りました。(車ですが)
もう「ドイツ語を忘れる」とかなんとか言っている場合ではなく、干からびる寸前。非常事態です。
そしてドイツの家。ソファーに座って本を開く、至福のとき
敬愛する北村薫さんの「鷺と雪」に代表されるベッキーさんシリーズを3冊。と、ひとがた流し。の合計4冊を読み終え、とても満ち足りた気分になっています。
やっぱり美しい日本語に触れることは貴重!
海外に居ると、インターネットでニュースを読むくらいしか、書かれた日本語を読むことはないのではないかしら。
美しい。とひとことで片付けてはならぬ、北村薫さんの小説。
読むと自然と心が整頓されていくような気になります。
日本語の使い方が本当に巧みで、難解な言葉を避けての、ごくごく普通に見える単語の選び方。それをつなげた表現の仕方。
すごい。
と、いつも思います。
ひとがた流しの、いちょうやさんの納豆のシーンが、人生を悟った瞬間のようで。本当に一瞬の画なのに。
すごい。
話の流れも、心の機微も書かれ方が素敵で、最後はティッシュなしには読めませんでした。
特に、日本でたくさんの友人たちに出会った後だったからかなぁ。
一人ひとりの大事な友達の顔が、順番に浮かびました。
上の写真は、そのなかの一人が用意してくれたサプライズ。
嬉しかった
ただ、このままいけば持って来た本が、読書の秋を迎えるまでになくなりそうな勢いです…