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カイザースラウテルンの歌劇場では、先週末が初回公演だった
アルバン・ベルクのオペラ、ヴォツェック。

初回公演が降り番だったこあらは、昨日が初本番!

本番前にもう一度録音を聴きながら復習して挑みました。



このオペラは、私にとってかなり難関。本番までの道のりが長かったです。

まず、
予習の段階で、あらすじを読む

内容があまりに救いようがなく、暗くて、どっぷり落ち込む。
立ち直れず。楽譜は閉じたまま。


数日後、仕方がないので楽譜を見ながらCDを聴く。

いろんな声部が入り乱れすぎていて、ヴィオラを探し出せず。
やむなく楽譜を閉じて、聴く。暗い。
落ち込む。


オーケストラ練習が始まる。

指揮者の説明のおかげで、ベルクの意思などが少しずつ分かる。
嬉しい。
少し活路を見出す。


しかし
50%という契約のため、練習も半分だけしか出られないので、練習と練習の間が一週間空くということも。

なんだか、やっぱりよく分からなくなっていく。
そして、次の練習に行ってやはり落ち込む。


というのを繰り返して…昨日の初本番を迎えたわけですが、
もう一度録音を聴いて、全体像を少し復習できたおかげで、ちょっとリラックスして弾けました。

でも、本当に救われない内容。
録音を聴きながら、分からないのでストップして、もう一度、そしてもう一度…
と、繰り返し聴くのですが
何度も何度も
「血が、人間の血がー!!」
なんていうのを聴くと、本当に気が滅入ります。ふぅ。


実話を基に作られたオペラで、またそれも心が重くなる原因かなぁと思ったり。
ヴォツェックは、貧しいながらも妻子を養う手段を考えていて(貧しいので結婚はしていない、いわば内縁の奥さん)、床屋をしたり、また、自分自身を人体実験の実験台として提供、それと引き換えにお金をもらって生計を立てているのです。
下層階級ではあるけれど、実験の薬で徐々に精神的に影響が出てきているけれど、敬虔な神を信じるヴォツェックの姿もオペラでは描かれているようで、
それも、なんともいえず、悲しい。
内縁の妻であるマリーは、軍楽隊の鼓笛隊長と、しかし、浮気をしてしまうのです。
そりゃ、旦那さん、お金ないし、未来は明るくないけど…
で、それを知ったヴォツェックが奥さんを刺し殺して、自分は錯乱状態でうっかり溺れ死んでしまうという話。
残された子は何も知らず、でも他の子供たちが子供っぽい無邪気さで母親が死んだことを伝えて、終わるという…なんともいえないオペラ。

ふぅ。書いているだけで、また暗くなってきました。


イタリアオペラの悲劇で、最後にみんな死んじゃうっていうのはよくあるパターンですが、なんで、このお話はこんなにも救われない気持ちになるんでしょう。

でも、音楽は、ワーグナーだったり、マーラーだったり、なんとなくハリーポッターだったりする部分が随所にあって美しいです。
だから、余計に悲しいのかなぁ。